「倍返し」で有名になった「半沢直樹」ですが、「バブル入行組」の男たちの友情物語でもあります。この話の原型が、藤沢周平の『蝉しぐれ』にあるのではないか、と感じたのは私だけでしょうか。
ところで、藤沢周平は人生の終わり方について、つぎのように語っています。
「私は所有する物は少なければ少ないほどいいと考えているのである。物をふやさず、むしろ少しずつ減らし、生きている痕跡をだんだん消しながら、やがてふっと消えるように生涯を終ることが出来たらしあわせだろうと時どき夢想する」(『周平独言』)。
遺した資産に消費税をかける「死亡消費税」が政府の会議で真顔で議論されるおかしな時代になってきました。こんなものが導入されたら、死ぬに死ねなくなる。
あるいは、藤沢周平の「夢想」を実践する人が増えてくるかもしれない、とおもいました。