2013年11月3日日曜日

絵本のすすめ65―白バラはどこに

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 「白ばらはどこに」(みすず書房)は、甘さのみじんもない、しかし、リリカル(叙情詩的)な絵本です。

第2次世界大戦下のドイツのちいさな町。
「白バラ」という名前の少女が、ある日、兵隊たちが、逃げようとする1人の少年を捕まえて、トラックに乗せて走り去るのを目撃します。...

「白バラ」は、そのあとを追いかけ、町をはずれ、広い野にでて、見たこともない森へ。
森のなかの切りひらかれたところで少女が見たのは、鉄条網をへだてたむこう側のおおきな木造の建物と、そのまえに立ちつくした、やせた子どもたち。子どもたちのシャツの胸には明るい黄色の星印がぬいつけられていました。   

 「白バラ」は、スクール・バッグに食べものをかくして、森の子どもたちにとどけます。
しかし、ドイツ兵が戦いに負け、連合国の軍隊が迫ってくると…。

1942年、ミュンヘン大学で反ナチ運動に参加し、21歳で処刑されたゾフィー・ショルは、「白バラ通信」という宣伝紙をつくっていました(映画「白バラの祈り」で有名)。この絵本の少女の名、「白バラ」は、ゾフイー・ショルを象徴する意味で使われています。