ご隠居・甲太郎
「おつとっと、乙さん、今年もよろしゅうたのんます。ところで、あんた何歳(いくつ)にならはったん?」
ご隠居・乙松
「ええっと、……忘れてしもた。甲さん、あんたは?」
甲太郎
「ワシはまだ、かぞえで二十歳(はたち)と五十や。延命装置つけてでも、年金できるだけもろたろかと思てんねん」
乙松
「そら立派な心がけや。年金減らされたら、長生きして元とるしかないわな」
甲太郎
「ところで元旦の各新聞の社説よんだか?もう、開いた口がふさがらんかったわ」
乙松
「口が開いたままか。そら、大変やったろ」
甲太郎
「そやねん。孫がゴミ箱と間違うて、アメの包み紙すてに来よったわ」
乙松
「アホな孫やなぁ。あんたに似たんか」
甲太郎
「いや、ばあさんや。ばあさんも時々やりよる。ところでワシがいいたかったんはな、朝日、読売、毎日、日経、どの社説もみんな同じこと書いてんねん」
甲太郎 翁
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乙松
「甲さん、四つも新聞とってんのか。金持ちやなぁ」
甲太郎
「元旦からあいてたコンビニで立ち読みしたんや」
乙松
「ええ根性しとるな」
甲太郎
「それでな、どの新聞も前置きは民主主義の危機や、資本主義の危機やとごたく並べて、結局なにがいいたいのかとおもたら、だからTPPに参加せえ、消費税増税は避けられへん と、同じことをいいよるねん」