2013年2月5日火曜日

乱読のすすめ76-若者の自殺深刻化、「生きごたえのある社会に」

清水康之さん











   昨年の自殺者数は15年ぶりに3万人を下回ったが、依然として、1日平均70人超が自殺。とくに若者の自殺が深刻化している。若者の自殺は、日本社会にたいする三行半(みくだりはん)ではないのか--今日の読売新聞の『論点』で、NPO法人「自殺対策支援センター・ライフリンク」代表の清水康之さんが、若者の自殺について核心をついた意見をのべておられます。

   清水康之さんは、元NHKの報道ディレクターで、おもに『クローズアップ現代』を担当。自殺問題の取材で、親が自殺した遺児たちと出会ったことをきっかけに、「自殺は社会的な問題である」と確信。日本の自殺対策の「つなぎ役」「推進役」を担おうと、2004年、NHKを退職し「ライフリンク」を立ち上げました。
 国会に超党派の議員による「自殺対策を推進する議員有志の会」(私もメンバー)がありますが、清水康之さんは一貫してその「顧問」的役割をにない、「自殺対策基本法」策定の立役者でもありました。
   じつは今日も「議員有志の会」の会合があり、清水さんのお話を久しぶりに聞きました。おだやかな表情のなかにも、弱者をおもい現状を変えようという強い信念が感じられます。湯浅誠さんとならぶ、時代がうんだ逸材だとおもいました。

岩波ブックレット















   清水さんは『論点』のなかで次のようにのべておられます。
   「なぜ、それほど多くの若者が自殺するのか。命を粗末にしているからか。あるいは弱さの表れか」
   「単純な答えがあるわけではない。ただ、若者たちからは『死にたいわけじゃないけどもう生きるのをやめたい』との言葉をよく聞く。『人は生きるものという』という大前提さえ揺らいでいるというか、多くの若者にとって日本が『生きごたえのある社会』ではなくなっているということだろう」
   「人生を一歩でも踏み外した人は容赦なく社会から排除される」のではなく、「多様な生き方、働き方を可能にするための社会的条件を整えることが急務である」