2013年5月28日火曜日

乱読のすすめ81-ごめんね、ミヨンソン

映画「バッチギ」 沢尻エリカさん






 

 
   維新の会・橋下徹氏の「慰安婦制度は必要だった」という暴言は女性の人権を侵害するだけでなく、男性全体をも貶(おとし)めるおぞましいものでした。同時に、かれの言葉の中に韓国の女性にたいする蔑視を感じました。

      この間、東京や大阪などで行われている「ヘイトスピーチ(憎悪表現)デモ」も異常です。私が目撃したのは浅草の雷門前でした。普通の恰好をした中年男性や若い男女が2、30人、日の丸を掲げながら、在日コリアンをののしり、抹殺しろと叫びます。人はここまで悪意を剥きだしにできるものなのか、見ていて胸が悪くなりました。










   精神科医・片田珠美さんの新刊「正義という名の凶器」(ベスト新書)によれば、こういうデモに参加する人たちは、リストラにあって失業したり、長期にわたる不安定雇用や引きこもりなど、要するに自分の人生がうまくいっていないことを、在日コリアンのせいにしてうっぷん晴らしをしているのだといいます。

   私が生まれた京都市内には、在日コリアンの居住地域がたくさんありました。日本人の子どもたちはコリアンの子どもをよくいじめました。ときどき仕返しもされました。それでも憎み合っていたわけではなく、たまには野球などをして一緒に遊びました。

   小学5年生のとき、ミヨンソンという同学年の可愛い女の子と仲良くなりました。自転車を直してあげたのがきっかけでした。家にも遊びに行くようになりました。豚の飼育で生計を立てている貧しい家庭でしたが、お母さんがおいしい玉子雑炊を作ってくれました。

   白いあごひげをはやしたミヨンソンのお爺さんが言ったことを今でもよく憶えています。
   「なんでおまえらは朝鮮の子をいじめる。日本人の祖先は大陸から渡ってきた。もとをただせば、みんな兄弟やないか」

   近頃の日本、ミヨンソンごめんね。