2013年1月31日木曜日

金返せ










   東京駅ちかくの書店に立ち寄ったら、「新刊コーナー」に安倍晋三さんの『新しい国へ』(文春新書)が置いてありました。
   ざっと眺めてみると、安倍さんが2006年に刊行した『美しい国へ』に、5ページの新しいまえがきと、「増補」部分18ページを加えただけのもので、新刊というより、「改訂版」のたぐいです。
   こんなものをタイトルだけ変えて新刊で売り出すなど、一国の総理として恥ずかしくないのか。
すでに『美しい国へ』を買って読んだ人が、うっかり新刊だとおもってこの本を買うと、騙された気分になるのは必定。関西人なら、ひとこと、「金返せ」と言うでしょう。

 ほかにも「金返せ」と言いたくなることがこれから増えそうです。

 安倍さんは自分のアベノミクス(とくに金融緩和路線)で、円安になった、株価が上がったと自画自賛。しかし実際にはまだ何もやっていません。日銀と一緒に「これから大胆な金融緩和をやります」と宣言しただけ。いま現在の円安、株高は投資家(とくに海外のヘッジファンド)の「思惑」が先行している結果です。

 つまり、これから金融緩和が行われお札がたくさん市場に流れ込む(だろう)⇒そうなれば円の値打ちが下がって円が売られる(だろう)⇒円が売られれば円安になる(だろう)⇒だから今のうちに円を売っておこう⇒実際に円が売られ円安になった。
 また、円安になれば輸出企業の業績が伸びる(だろう)⇒輸出企業の株は上がる(だろう)⇒だから今のうちに株を買っておこう⇒実際に株が買われ株高になった。

 こういう、利ざやを稼ごうとする投機筋の「だろう」「だろう」の思惑が円安、株高を招いているだけのことで、デフレ不況克服に向かっているきざしは何1つありません。
 むしろ円安が輸入物価を押し上げ、生活必需品全体の物価を押し上げつつあります。このままいけば、賃金が上がらないまま、生活必需品だけが値上げされる最悪の事態になりかねません。
   安倍さんの政策で、財布からお金が出ていく…やっぱり関西人なら、「金返せ」と言いたくなるでしょう。