2013年3月4日月曜日

乱読のすすめ78-古川美穂「ギャンブル大国ニッポン」

岩波ブックレット 862号














   「被災地でパチンコが大盛況らしい。そのために住民の間であつれきが生まれている」、そんな話を初めて耳にしたのは、東日本大震災のあった2011年のくれだった…。
   フリーライターの古川美穂さんは、大災害の後に増えたギャンブル依存症の問題を正面からとらえ、人々のこころの弱さにつけこむ日本のパチンコ業界、さらにはカジノ推進勢力のうごきをきびしく監視するよう呼びかけています。


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   橋下氏の「カジノ構想」には、楽天の三木谷浩史社長も欲をみせています。安倍政権の「産業競争力会議」の第1回会合(2013年1月23日開催)で、委員の一人である三木谷社長は、海外マネーを引き寄せる大都市の娯楽的魅力の向上のためと称して、カジノの開設と風営法の緩和を提案しています。楽天の今後の経営戦略のなかにカジノ解禁が想定されているとしかおもえません。

 しかし、安倍さんも麻生さんも、橋下氏も三木谷氏も、賭博が歴史的にどれだけ悲惨な事件や生活破壊をもたらしてきたか、一度でも真剣に考えたことがあるのでしょうか。だからこそ、刑法は賭博行為を禁止しているのです。

  橋下氏は、2010年10月28日に、東京都内で開かれた「ギャンブリング・ゲーミング学会」の総会に出席して、つぎのようにのべています。
   「日本はギャンブルを遠ざけて、お坊ちゃまの国になっている。国民はちっちゃい頃からギャンブルを積み重ね、勝負師にならないと世界に勝てない」
  
   「勝負師(ギャンブラー)になれ」…自分の低劣な価値観を人に押し付けないでもらいたいとおもいますが、「勝てば官軍、何でもあり」の橋下氏。かれの政治ギャンブルを止めるには、やはり選挙で審判を下すしかありません。