馬場あき子 角川学芸出版
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花の色は昔ながらに 見し人の心のみこそ うつろひにけれ
元良親王
(花の色は昔のまま変わらずに今年も咲いたが、ともに契ったあなたの心だけは、私から離れてしまったのですね)
「アベノミクス」出現のおかげで、この間、経済の本ばかり読むはめになっておりましたが、久しぶりに日比谷の書店で手に取った文芸書が歌人・馬場あき子さんの「日本の恋の歌-貴公子たちの恋」(角川学芸出版)。平安時代の貴公子たちの恋の成就と別れが、時代をこえて切なく伝わってきます。
思ひつつ 寝ればや人の見えつらむ 夢と知りせば 覚めざらましを
小野小町
初雁の 鳴きこそわたれ世の中の 人の心の 秋し憂ければ
紀貫之
君がため 惜しからざりしいのちさへ 長くもがなと 思ひけるかな
藤原義孝
(あなたにお逢いできるのであれば惜しくないとおもった命さえ、逢って一夜を過ごしてみると、長くありたいと願うようになりました)