2013年8月7日水曜日

乱読のすすめ84-「半沢直樹」は実在するか

 











いまテレビでも小説本でも、池井戸潤さん原作の「半沢直樹」シリーズが大人気です。

残念ながらテレビの半沢直樹(TBS「日曜劇場」)は見ることができないでいますが、移動の車中で小説三部作は一気に読んでしまいました。80年代末のバブル期に大手銀行に入行した半沢直樹が、自分の銀行や社会の不正と戦う経済サスペンスです。上司を恐れず、ズバズバものをいう勇猛な半沢の行動様式がとても魅力的です。

小説を読んでいて、3年前、実際に大手生命保険D社の不正を内部告発したAさんのことを思い出しました。

D社は意図的な保険金の不払いをおこない、その事実を隠ぺいしていました。Aさんは自社の不正が許せず、金融庁にたいし内部告発をおこないましたが、金融庁はそれを黙殺しようとしました。

わたしがAさんの告発をもとに、国会質問でD社の不払い問題を取り上げたのが2010年4月。

http://www.daimon-mikishi.jp/kokkai/k-kiji/100405.html

そのとき面談したAさんは「こんなことを続けたら顧客(保険契約者)を裏切ることになる、D社の未来もない。保険マンとしてどうしても許せなかった」といいました。
半沢直樹も「こんなこと、銀行マンとして許せるか!」が口ぐせです。

その後、D社にたいし金融庁の指導が入り、不払いの再発防止策はとられましたが、幹部の責任を問うには証拠が足りませんでした。そこが小説とちがうところ。

匿名の内部告発の場合、企業は必ず「犯人捜し」をします。家族をかかえたAさんにとって、内部告発はとても勇気のいる行動でした。小説の半沢直樹以上の猛者といえるでしょう。

けっして「犯人捜し」はさせない―D社とわたしの緊張関係はいまも続いています。