2013年9月10日火曜日

「賃上げ促進税制」はアリバイにもならない ②










   ところが、雇用法制はさらに規制緩和をすすめる、最低賃金はアリバイ程度の引き上げでお茶をにごす。これでは安倍さんんが、いくら「賃上げが大事」といっても信用されません。

   アリバイといえば、自民党が検討をはじめたという「賃上げ促進税制」の拡充もそのたぐいではないか。
   今年度から始まった企業に賃上げを促す法人減税制度。現行制度は2012年度に比べて「給与支給総額を5%以上増やした企業」を対象としています。しかしあまり制度が活用さ...れないので、その適用条件の引き下げを検討するとのこと。

   そもそも、賃上げしたら税金をオマケしてあげる、賃上げしたら助成金をあげる、こういう個別企業にたいしての「結果、ご褒美」式は、賃上げ促進策として有効な政策なのか。

   おおくの企業は賃金水準を決めるとき、世間相場に合わせて決めます。賃金を上げるときは、個別的でなく「いっせい」的でなければ付いていけないのです。自分ところだけ賃上げしたら価格競争に負けると思ってしまうからです。

   したがって、個別企業にたいし「結果、ご褒美」式で減税、助成をするというのは、何らかの理由で賃上げした企業の「努力」にたいする激励金の効果はあっても、全体の賃上げを促進する効果はほとんどない。あまり制度が活用されないのは、適用条件の問題ではなく、制度そのものに元々限界があるからだと思います。

   こういう「激励制度」を全面否定する気はありませんが、賃上げ政策というなら、やはり、正社員を増やす法改正と大規模な経済対策として中小企業支援とセットにした最低賃金の大幅引き上げに踏み出すべきです。

   「賃上げ促進税制」という言葉が新聞紙面に踊るのを見ると、ああ、また国民向けのポーズ、アリバイにもならないアリバイづくりがはじまったと呆れてしまいます。