2013年9月18日水曜日

乱読のすすめ95-なぜ日本政府はアメリカのいいなりなの?

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
ときどき学習会などで、そういう質問が出されます。戦後、アメリカが日本を政治的にも経済的にも従属化してきた経緯をお話するようにしていますが、元外務省国際情報局長の孫﨑亨さんの答えは簡単で明快。「アメリカの言うことを聞かないと、ときの政権も政治家もつぶされるからだ」。

 孫崎さんの『戦後史の正体』(創元社)や『アメリカに潰された政治家たち』(小学館)は、陰謀うずまく政治小説のようでおもしろい。日本のどんな有力政治家も、少しでも「対...米自主」の姿勢を取ったとたんに、アメリカとアメリカ追随勢力によってつぶされてきた。そのつぶし方は鮮やかで、アメリカの息のかかった日本の司法とマスコミが追い落としに動く…話半分に聞いても、どこかリアリティを感じさせるストーリーだと思いました。

今日読んだ『アングラマネー』(藤井厳喜、幻冬舎新書)でも、アメリカが陰謀的にイタリアの政治を左右してきたことが書かれていました。
1978年イタリアでモロ元首相がテロリスト「赤い旅団」に殺害されましたが、事件の真相は、アメリカがイタリア共産党と手を組もうとしたモロ氏が気に入らず、CIAとマフィアが裏で糸を引いて「赤い旅団」にモロ氏を殺させたという説が有力だとのこと。
そもそも第二次大戦後、イタリアの各地でマフィアと共産党が激しく対立したのは、アメリカが反共のための防波堤としてマフィアを利用したからだそうです。
…となると、戦後の日本でも暴力団が右翼を標榜し反共を掲げるようになったのも、最初はアメリカが仕組んだことだったのか?

いずれにせよ、孫﨑さんは、『アメリカに潰された政治家たち』の最後をつぎのように結んでいます。
「私は一日も早く、一人でも多くの日本人が、アメリカにたいする幻想を捨て、対米従属のくびきから逃れてほしいと願っています。原発再稼働やオスプレイの配備、TPPへの加盟を阻止すれば、アメリカにたいしてノーを突きつけることになります。そして、日本は本当の意味での『戦後』に終止符を打ち、新たな地平が開けるのです」