2013年9月2日月曜日

スウェーデン「税金は自分の貯金」












   NHKドラマ「夫婦善哉」がおもしろい。原作の香りがうまく映像で表現されていますし、当時の時代、世相も興味深い。

   前回、夫の病気を治すために家を売るシーンがありました。1930年代のはなしですから、国民の3分の1くらいは無保険状態におかれていたと思われます。重病になれば財産を失うか、財産のないものは命を失うことになったのです。

   だれでもどこでも公的医療保険でお医者さんにかかれる国民皆保険制度が確立したのは1960年代初めですが、いま、その国民皆保険制度が危なくなっています。自民、公明、民主で決めた「社会保障改革推進法」がめざすのは、公的医療の放棄、自己責任の世界です。こんな方向を許せば、いずれ病気のために家を売る時代にもどりかねない。
にもかかわらず、政府は来年から消費税を増税しようとしています。社会保障のためなら増税も仕方なしと思っていた人には詐欺のようなはなしです。

   一昨年、スウェーデンに調査に行きました。スウェーデンは消費税を社会保障の特定財源にしていませんが、高負担、高福祉の国といわれるように、たしかに所得税などの負担は重い。「重税感はないのか?」とある男性に訊くと、「税金は老後やいざというときのための貯金と思って国に払っている」という答えがかえってきました。国に対する信頼感が日本とまるでちがうと思いました。

   自分の貯金になるのと詐欺でまきあげられるのでは雲泥の差です。「夫婦善哉」のヒロイン、蝶子なら、モノを投げまくって怒ることでしょう。